マンション売却で損したら税金が戻ってくる?その方法、お伝えします。
第3回の記事ではマンションを売却したときにかかる所得税(と住民税)の計算を紹介しました。

現行の制度に当てはめた計算をしてみると、ほとんどの方は税金がかからないことがわかりましたね。

その理由はマンション売却時の値段が購入時より3,000万円以上高くなることはまれだから。むしろ、売却時の価格が購入時より低くなることの方が当たり前でしょう。

ところで、売却時に得をした時は税金を払う対象になりますが、損をしたときには逆に還付などの制度はないのでしょうか。

第4回では、マンション売却時に損をした時の仕組みについて解説をしていきます。

※この記事は2016年12月現在の法令等に基づいて作成しています。そのため、正確な税額等を知りたいときは、税務署や税理士等へ相談されることをおすすめします。

マンション売却時の損失では、税金が安くならない?

第1回でお話ししたとおり、マンションを売却したときの税金は『譲渡所得』という分類で計算され、原則として給与や事業で得た所得と合算することはできません。

例をあげて見ていきましょう。

例えば、ある年の収入が500万円あり、そこから計算された所得が150万円、またその年にマンションを売却し、損失が100万円出たとしましょう。

(計算しやすくするため、所得税は所得金額の10%とします)

もし所得を合算することが出来たとしたら、給与の所得150万円からマンション売却の損失100万円を引いた50万円となり、その10%である5万円が所得税の額となります。

これが現実では合算できないため、給与の所得は150万円の10%である15万円、マンション売却の損失100万円は税金が0円となり、15万円が所得税の額となります。

※比較をしやすくするため、大枠での計算をしています。詳細を知りたい場合は国税庁HP等を参照してください。

このように、マンションを売却したときの譲渡所得は『損失を他の損失と合算することができない』=『損をしても税金は安くならない』というルールがあります。

ところが、実はマイホームとして使っていたマンションに関しては、特例として他の所得と合算をすることができるのです。

これを使わない手はありませんよね。ただ、条件や限度額などのルールがありますので、後で調べたら使えなかったということがないよう、しっかりと押さえていきましょう。

マンション売却の損失を合算できるための条件とは?

まずは損失を合算できるための条件を確認していきましょう。

大前提としてあるのは、第3回までにも度々出てきている『自分が住んでいたマンションである』ということです。投資用のマンションでは適用されませんので、注意してください。

それも含めた適用要件は以下のとおりです。

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(1) 自分が住んでいるマイホーム(譲渡資産)を譲渡すること。なお、以前に住んでいたマイホームの場合には、住まなくなった日から3年目の12月31日までに譲渡すること。また、この譲渡には譲渡所得の基因となる不動産等の貸付が含まれ、親族等への譲渡は除かれます。
(注) 住んでいた家屋又は住まなくなった家屋を取り壊した場合は、次の3つの要件全てに当てはまることが必要です。
イ その敷地は、家屋が取り壊された日の属する年の1月1日において所有期間が5年を超えるものであること。
ロ その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売ること。
ハ 家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと。
(2) 譲渡の年の1月1日における所有期間が5年を超えるマイホーム(譲渡資産)で日本国内にあるものの譲渡であること。
(3) 譲渡したマイホームの売買契約日の前日において、そのマイホームに係る償還期間10年以上の住宅ローンの残高があること。
(4) マイホームの譲渡価額が上記(3)の住宅ローンの残高を下回っていること。
参考:国税庁HP

注意するポイントは、

『住まなくなってから3年以内に引き渡す』
『所有期間が5年以上』
『住宅ローンの返済期間が10年以上あり、かつ売却額<住宅ローンの残額』

特に住宅ローンの返済期間と残額には気をつけましょう。

損失の金額はどうやって決める?住宅ローンの残額が大きく影響する!

前述した条件を無事満たしていたら、どれくらいの金額が所得から減らせるか(これを『控除』と言います)計算してみましょう。

控除の金額は、次のいずれか低い金額となります。

A. マンションの購入額 - マンションの売却額

B. 住宅ローンの残高  - マンションの売却額

例えばマンションの購入額が5,000万円、マンションの売却額が3,000万円、住宅ローンの残額が3,200万円の場合、

A. 5,000万円 - 3,000万円 = 2,000万円

B. 3,200万円 - 3,000万円 = 200万円

となり、低い金額である200万円が他の所得から控除されます。

また、この200万円が控除しきれなかった場合、残った分は3年以内であれば繰り越すことができますので、翌年以降も税金が安くなることとなります(例えばこの年の所得が150万円でしたら、残りの50万円は翌年に控除することができます)。

一般的な収入の方であれば、所得税は給与所得の5~10%ほどかかる場合が多いので、例のケースで言えばトータルで数十万円単位での税金が安くなることになります。

なお、ほとんどの方はマンションの購入額より住宅ローンの残高が低いと思いますので、Bの金額が所得から控除される金額となるでしょう。

まとめ

マンション売却時に損失が出たとき、税金が安くなる仕組みと条件、金額の計算方法をまとめると、次のようになります。

・マイホームを売却したときの損失は、他の所得と合算することができる。
 (通常は分離課税で計算する)

・合算するためにはいくつかの条件を満たすことが必要。
 特に住宅ローンの残高と返済期間は注意!

・損失の金額は主に『住宅ローンの残額-マンション売却の金額』。

ただ、これは売却のみを想定した条件や計算方法で、実際には買い替え(売却と同時に購入)することがほとんどのパターンになると思います。

その場合、これまでに説明した内容に加え、もっとおトクに、有利になる特例が用意されているのです。

第5回では、そのような買い替え時の特例についてお話ししていきます。

※今回紹介した売却時の特例は、2017年12月31日までの期限となっています。適用を検討されてい場合は期限にも注意してください。

マンション売却 税金➡第5回買い替え時の特例