第6回ではマンションの売却のみした場合、どれくらい税金がかかるのか(減るのか)をシミュレーションしてみました。

ただ、実際にマンションの売却をするときは、同時に次の住まいを購入することもよくあるパターンの1つかと思います。

ということで、第7回ではマンションの売却と購入を同時に行う、いわゆる買い替え時のシミュレーションを行っていきましょう。

なお、買い替えは売却より複雑な計算となりますので、第4回と第5回を先に読んでからこの回を読むことをおススメします。

※下記に例示しているパターンはモデルケースの為、地域や所得など様々な状況に応じて所得税等の金額が変わります。詳しくは税務署や税理士等へ相談されることをおすすめします。

Cさん:手狭になったマンションを売り、新しいマンションを購入

Cさんは15年前に現在住んでいるマンションを3,000万円で購入。購入時の手数料は150万円でした。

当初は特に不自由を感じることなく暮らしていたのですが、2人の子どもが大きくなるにつれ、それぞれの部屋が必要に。そこでCさんは思い切って、マンションの買い替えをしました。

新しいマンションは3,500万円、購入時にかかった費用は200万円です。

また、現在のマンションを売却額は1,500万円、売却時にかかった費用は100万円でした。

なお、ローンの残高は2,000万円あります。(返済期間残り20年)

この時の税金がどうなるか、計算してみましょう。

まずは売却だけの時と同じく、売却時における譲渡所得の算出です。

売却額:1,500万円
購入額:3,000万円 + 購入費用150万円 + 売却費用100万円 = 3,250万円
譲渡所得:1,500万円 - 3,250万円 = -1,750万円(損失)

となるので、譲渡所得は0円になります。

また、住宅ローンの残額が売却額より多く返済期間も10年以上あるため、損失の一部は他の所得と通算することができます。

ローン残高:2,000万円 - 売却額:1,500万円 = 500万円
購入額:3,000万円 - 売却額:1,500万円 = 1,500万円

低い方の金額である500万円が他の所得と通算して控除されます。
(年収500万円くらいであれば、3~4年の間所得税が全額戻ってきます)

お気づきの方も多いと思いますが、マンションの売却で損失が出た場合、税金の計算は売却のみとほぼ同じとなります。

Dさん:状況はCさんと同じだが、利益が出た場合。

DさんはCさんと同様の条件でマンションを購入し、売却をしました。ただ、Dさんのマンションは非常に人気のある校区であったため、購入時より高額で売却することができたのです。

そのときの状況は以下の通りです。
購入額:3,000万円
購入時の費用:200万円
居住期間:15年
売却価格:4,000万円
売却時の費用:150万円
ローン残高:2,300万円

このときの譲渡所得は・・・

売却額:4,000万円
購入額:3,000万円 + 購入費用:200万円 + 売却費用:150万円 =3,250万円
4,000万円 - 3,250万円 = 750万円
750万円が譲渡所得(利益)となります。

特例を使わない場合の譲渡所得による税金(所得税+住民税)を計算してみましょう。

今回は15年の所有期間ですので、税率は5年以上の20%(所得税15%と住民税5%)が適用されます。

750万円 × 20% = 150万円

すぐに払える金額ではありませんね。ただ、買い替え時は売却のみの時と異なり、この税金を将来に繰り延べる特例がいくつかあります。

ここから先は少し難しくなりますので、頭を一旦リセットしてから読んでくださいね。

※なお、ここから先の説明を簡潔にするため、減価償却費や資産価額の土地・建物への配分等明記されていない分は考慮せずに計算しています。そのため、詳しい計算をする場合には税理士等の専門家に相談することをおススメします。

まずは第5回でも紹介した、旧マンションの売却による利益(譲渡所得)を新マンションを売却するときまで繰り延べることができる特例です。

今回のケースでは、旧マンションを売却したことで750万円の譲渡所得が出ましたよね。これを新マンションに引き継がせることで、今回は譲渡所得分の税金を払わなくても良いとしてくれるのです。

ただ、本当に『税金を払わなくて良い』ではなく、『次にマンションを売却したときまで税金の支払いを延ばす』ということですので、結局はいつか払わないといけません。その点は注意しておきましょう。

少し例も出しておきます。今回のケースで出た譲渡所得750万円は買い替えによる特例を使うと、その年の譲渡所得による税金は0円になります。

そして、将来新しいマンションを売却した時250万円の利益が出た場合、旧マンションの利益750万円と足して1,000万円の譲渡所得が発生するということになります。

何度も言っていますが、損失時と違い税金自体がなくなるわけではありませんので、その点は十分に注意した上で資金計画を立てるようにしましょう。

まとめ

・マンションの買い替えで損失が出たときは、売却のみとほぼ同様の特例が使える。

・利益が出た場合、新しいマンションを売却するまで税金を繰り越すことが可能!

・利益が出た場合の税金は『支払わなくて良い』ではなく『後払い』であることに注意!

ここまで大まかなシミュレーションをしてきましたが、これらを有効活用するには必ず『確定申告』をすることが必要となります。第8回ではその確定申告について、どのようなものか、また申告の方法を解説していきます。

マンション売却 税金➡第8回:確定申告について申告の方法も解説